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売掛金を確実に回収すること、買掛金を期日までにきちんと支払うこと、うまり売掛金と買掛金をきちんと管理することは、会社を運営していくうえで大変に重要な事項です。
与信管理どんなに商品を売っても、お金を回収できなければ何の得にもなりません。
得にならないどころか、仕入れの代金は支払う必要があるので、会社のキャッシュの帳尻を悪くしてしまいます。
第3章で説明した「売れない商品」を仕入れたときと同じ現象が生じてしまうのです。
ほとんどの会社では売掛金の焦げうきが発生しないようにするため、得意先の信用度合いに応じてあらかじめ取引の枠を設定しています。
たとえば株式を公開している甲社は1000万円、長年の取引がある乙社は500万円、起業したばかりの丙社は20万円……というように得意先ごとに売掛金の枠を設定しておくのです。
こうすることで、取り込み詐欺にあって大きな損失を被ったり、得意先の倒産によって焦げついたりすることをある程度は防ぐことができます。
このような管理を会計の専門用語で「与倍管理」といいます。
売上げはあえて抑える大きいことはいいことだ「大きいことはいいことだー」作曲家・指揮者の山本直純さんの派手なアクションが印象的な森永エールチョコレートのCM、覚えていらっしゃいますか。
このCMが大流行したのは一九六〇年代の後半、ちょうど日本がイケイケドンドンの高度成長期にあった頃です。
現在の日本は低成長の時代で、世の中には「大きいことはいいことだ」のような雰囲気が消え失せてしまったように見えます。
しかし、いまの時代にも「大きいことはいいことだ」の雰囲気が残っている世界があります。
それは「起業」の世界です。
ビジネスプランをたてる1会社を興す1規模を拡大する1株式を公開する1億万長者になる……。
起業して会社を大きくして成功する、うまり「大きいことはいいことだ」の雰囲気が起業の世界には残っているのです。
その理由は、起業して株式を公開することが、いまの時代の億万長者への近道になっているからでしょう。
M&Aの時代起業してから会社を公開する、といっても現実は簡単ではありません。
起業にあたっては、時代にフィットしたビジネスプランを持ち、資金の調達力があることが要求されます。
そして会社の規模を拡大していくには、会社を管理運営していく能力も必要です。
つまり会社を株式公開できる規模にまで育て上げるには大変な労力と時間が必要なのです。
しかしこの規模の拡大に時間がかかる、という点も解消されつうあります。
それは日本においてもM&Aの手法が広まってきたからです。
M&Aとは企業の合併や買収のことをいいます。
この手法を使えば、株式公開に必要な売上げの会社を作ることが簡単にできます。
たとえば現状の売上げが1億円の飲食店を経営する会社があったとします。
株式公開に必要な売上げを仮に10億円としましょう。
従来のやり方では一〇店舗を一から準備してオープンさせていく必要があります。
ところがM&Aの手法では、他の飲食チェーン店から店舗を買う、あるいは他の飲食店を経営する会社を買う、などのやり方で店舗を増やしてしまうわけです。
このやり方なら、必要な店舗をあっという間に手に入れることができます。
このように会社を早く大きくする環境が整った現在においては、会社を大きくして億万長者になりたいという夢を持った人たちが続々と起業しているのです。
起業のリスク会社を大きくし株式公開をめざすことは、億万長者になれる可能性があると同時に、会社を倒産させ一文無しになるリスクを背負うことにほかなりません。
なぜ会社を大きくすると倒産する可能性が高くなるのかというと、経費倒れになる危険性が高くなるからです。
売上げが減ればそれに対応して経費も減る、だから経費倒れにはならない。
このように考える人もいるでしょうが、経費には固定費と変動費という二つの性格のものがある点に注意しなければなりません。
固定費とは、売上げが増えても減っても変わらずにかかってしまう性格の経費をいいます。
具体的には社長の報酬、本社で経理や人事などの売上げが増減しても、変わらずにかかる経費亮上げの増減により変動する経費・‥仕入れなど仕事をする社員の給料、本社の家賃や電気代、電話代などの支出です。
一方、変動費とは売上げが増えれば増える、売上げが減れば減る、というように売上げの増減に対応して増減する性格の経費をいいます。
飲食店における食材や酒類の購入費、小売業や卸売業における商品の購入費用などです。
倒産リスクの観点から問題になるのは前者の固定費です。
何かの原因で売上げが減少してしまっても、固定費の金額は減らず、経費倒れになる要因を作ってしまうからです。
具体的に考えてみようまず、何か原因があって会社の売上げが減ってしまった状況を想定してみてください。
会社は順調なときだけではありません。
ライバル社が登場した、主力商品が消費者に飽きられた、店舗の立地が適さなくなったなどで、売上げが減ってしまうことはよくあるからです。
売上げ1000万円、変動費500万円、固定費400万円、利益100万円の会社で売上げが20%減少したとき、儲けがどのようになるのか考えてみましょう。
まずは変動費にういてです。
変動費は売上げの増減に応じて増減する性格の費用です。
したがって売上げが20%減っているので20%減少することになります。
次に固定費についてです。
固定費は売上げが増減しても金額が変わらない性格の費用です。
したがって、売上げが20%減っても同じ金額のままです。
売上げが減少すると、固定費が重荷になり、次のように利益が出ない会社になってしまうのです。
仕入れなど(変動費)400万円本社家賃など(固定費)400万円会社が大きくなると固定費が増える会社が大きくなるにしたがって、固定費はどんどんと増えていきます。
たとえば経理や人事などの事務処理。
規模の小さな会社は事務量が少なく、複雑なこともあまり起こらないので、社長自身が仕事の合間にやることができます。
しかし、会社が大きくなるとそうはいきません。
経理や人事の事務を処理する専門の社貞が必要になり、株式公開を狙うくらいの規模になると、「経理部」「人事部」など、複数の社員で組織的に対応しないと処理ができなくなります。
このような事務処理をする社員の給料は、売上げに応じて増減する性格のものではありません。
そうです。
典型的な固定費なのです。
事務処理をする社貞が増えていくと、その社員が働くスペースも広くしていかなければなりません。
広くするためには事務所を借り増したり、大きなビルに移ったりしなければなりません。
借りる面積が増える分だけ、家賃は増えてしまいます。
増えるのは家賃だけではありません。
事務所が広くなるのに応じて、電気代も通信費も水道代も共益費も増えてしまいます。
径理や人事の社員が入るビルの家賃や光熱費などは、売上げに応じて増滅する性格のものではありません。
これも典型的な固定費なのです。

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